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石丸信明コラム
COLUMN 石丸信明コラム
 
どこに置くマンガ本
 
ここ数十年、マンガを読む人は確実に増えてきた。そしてかかわり方もすっかり変わってきたといえるだろう。1世代前、私が小学生のころはマンガの主要な媒体は、雑誌とテレビだった。今や、テレビゲームの重要なキャラクターであり、映画においてもアニメーションはすっかり地歩を固めている。出版物のかなりの量をマンガが占め、マンガのキャラクターグッズが次々と生産され、一つのキャラクターが生活用品すべてを占有することも可能なほどである。

 マンガと住宅について考えてみよう。マンガがモノとして住宅の中に存在するのは、雑誌やコミックなどのいわゆるマンガ本か、テレビ番組やテレビゲーム、ビデオ作品などを映し出すテレビである。ここではマンガ本について考えてみたい。
マンガ本は置き場所も、読む場所も難しい。例えば、リビングのように人目につきやすいところに置くと、来客のときマンガばかり読んでいるようで格好悪い。子ども部屋に置くのも親としては気が引ける。なんとなく置き場所がないのである。読む場合にも、リビングで家族の前で読むのは気が引ける。マンガは、自分だけのスペースで読みたいものである。

 鉄骨造りの住宅を設計したとき、階段のところに梁の幅のスペースがあいてくるので、そこに本箱となる収納を設け、マンガ本を並べてみた。すると、子供は階段に座り自分の図書室のようにして読んでいた。設計者としてはさりげない場を作るだけで、後は子供が自分なりの感性で、その場の身の処し方を見付けてくれるのである。
マンガが生活の中でどのように位置づけていいかはっきりしないものなら、このような場、つまり階段横の収納棚と階段を、子供のマンガのスペースとするのもいいのではないだろうか。窓を通すあかりの下で、兄弟が並んでマンガを読む風景が一つの原風景として記憶に残るのではないだろうか。そうなれば、設計者としては喜びである。

 マンガを住宅の中でいかに位置づけるか。マンガのキャラクターは将来、パソコンの世界においても活躍するに違いない。そうなったとき、今度はパソコンをどこに置いて、どのように使うのか。住まいの中にさりげなくパソコンが入り込み、今よりもっと身近になったとき、それとどのように付き合っていくか。我々の身の処し方を考えていかなければならないであろう。
 
1999年8月26日(木曜日)  毎日新聞掲載
 
 
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